ずっと住んでいた土地・建物を売ろうとしたのに「このままでは売れない」と言われたワケとは?
「長年住んだ家を手放そうと思い不動産屋さんに足を運んで相談したのですが、不動産屋さんから”このままでは売れない”と言われました。」
調べてみると、それには非常にシンプル理由がありました。
いったいなぜ「このままでは売れない」と言われたのでしょうか?
この記事を読み終わる時には、売れない理由とその対処方法を理解し、事前に対処することができるようになります(^_^)
1.「売れない」と言われたシンプルな理由とは?
不動産を調べてみたところ、「実は所有者ではなかった」という理由が発覚。
当然ですが、たとえ長年居住していたとしても、自分がその不動産の所有者でなければ、思うように売ったり、人にあげる(贈与)ことはできません。
長年固定資産税を支払っていたからと言って所有者とは限らないのです。
2.不動産の所有者はどうやったら分かるの?
不動産の現在の所有者は、法務局で“不動産の登記簿謄本(不動産の全部事項証明書)”を取得すれば分かります。
いったいどのように取得するのでしょうか?
(1)不動産謄本の取得の流れ
お近くの法務局の証明書発行窓口で所定の用紙に必要項目を記入して提出します。
発行手数料は原則として1つの不動産につき、600円です。
例えば自宅の不動産は土地・建物の2つなので、発行手数料は最低でも1200円です。
※なかには1つの土地のうえに2つの建物があったり、場合によっては前面道路まで取得した方がいい方もいます。
(2)法務局に足を運ぶ前に確認が必要な「不動産の地番」
法務局に足を運ぶと、このような「登記事項証明書交付申請書」を記入することになります。
申請書のなかで「不動産の地番」の記入が必要になりますが、不動産の地番は「住所」と違うケースが少なくありません。
この不動産の地番を確認するためには2つの方法があります。
①固定資産税の納税通知書を確認する
固定資産税の納税者に毎年送られてくる「固定資産税・都市計画税課税明細書」に不動産の地番の記載があります。※福岡市では写真内赤枠部
②法務局に住所から不動産の地番を割り出してもらう
お近くの法務局の発行窓口で自宅の住所を伝え、「地番を教えてください」と言えば地番が分かります。電話で聞くこともできます。
(3)不動産の謄本の見方
不動産の登記簿謄本は主に3~5つの項目、から成り立っていますが、所有者に関しては「権利部(甲区)所有権に関する事項」の一番下に記載があります。
※写真内赤枠部
3.所有者ではなかった!でも不動産を売るためにはどうすればいいの?
冒頭に記載したように不動産を売るためには、自分が所有者である必要があります。
そのためには、事前に自分が所有者になるための手続きが必要となります。
事前にどんな手続きが必要になるのでしょうか?
ここでは考えられる5つのケースをご紹介します。
(1)現在の所有者が生きているケース
現在の所有者から不動産を買う(売買)、又は貰う(贈与)などの交渉を行い、不動産を自分の名義に変更する手続きが事前に必要になります。
(2)現在の所有者は生きているが、認知症となっていたケース
(1)のケースのように現在の所有者と不動産の売買や贈与などの交渉を行いたいところですが、認知症になっていれば、本人が売りたい・贈与したいなどの意思がはっきりと分かりません。
この場合は、まず後見開始申立という手続きをしてもらい、現在の所有者に代わって契約ができる成年後見人をつける必要をしたうえ、不動産の売買・贈与の交渉を行うことになります。
また、場合によっては家庭裁判所の許可が必要な場合があります。
(3)現在の所有者は亡くなっていて、あなたが相続人であるケース
亡くなった所有者の相続人全員で誰がその不動産の所有者となるか(相続するか)話し合い、不動産を自分の名義に変更する手続きが必要になります。
(4)現在の所有者が亡くなっていて、あなたは相続人ではないケース
珍しいケースですが、この場合、次の2つのステップを踏む必要があります。
Step1 亡くなった所有者の相続人全員で誰が所有者となるか(相続するか)話し合い、まずは相続人が所有者とする手続きをします。
Step2 それから新たに所有者となった相続人と不動産を買う(売買)、又は貰う(贈与)などの交渉を行い、不動産を自分の名義に変更する手続きが必要になります。
(5)時効取得ができるケース
(4)同様、これも珍しいケースです。
時効取得とは、「この不動産は自分のものだ!」と思って10年や20年その不動産に居住していると、その不動産を自分のものとして主張できるといった制度です。
心当たりがある方がいらっしゃるかもしれませんが、時効取得するにはいくつもの条件をクリアする必要があります。
このケースに該当する可能性があれば、まずは法律家にご相談ください。
4.まとめ
もし、この記事を読んでいるあなたが、不動産の所有者かどうかはっきりと分からない場合、まずは所有者の確認を行うことをおススメします(^-^)
前項の5つのケースでご紹介したように、場合によっては事前の手続きが必要になりますし、場合によっては所有者になれず、不動産を売却できないということになりかねません。
当事務所でも不動産の謄本の取得を代行しておりますので、お気軽にご相談ください(^-^)
~Fin~
最後まで読んでくださってありがとうございました(^-^)
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